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2009年12月。本のことなど。

■幾ら不謹慎な人間だと言われてもですね。
今村栄治と黒島伝治と葉山嘉樹を一度読みした後の、心にのったりと暗惨たるコールタールが澱のように広がって貯まる気分の悪さをわかっていても読む行為をすることこそが、結局今の現代にいたるまであの時代から抜きってない証拠じゃないかと思うけど。
老舎先生のもそんな感じよな。
脱なんてナンセンス。なんてなー。

あと、わたしは葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』は恋愛小説だと言い張る。
そりゃテーマもスプラッタ性もホラー性もわかってるが、あの手紙はすごく好き!
「私はどうして、あの人を送って行きましょう」
「あなたも御用心なさいませ。さようなら」

■梅娘「僑民」は加筆補正版より、格段に初出雑誌版の方がエッセンスだけを凝縮してて名作と思うがそういうご時世だったから仕方ない。
日本で働く中国人と、朝鮮人夫婦が阪急電鉄で乗り合わせる気まずい一瞬の話。
現代でも十分通用する話。
でも個人的にフェミとして読みたくない。階級・民族・時代性として読みたい。

私の好きな女性作家は、たいてい長寿である。
牛島春子も梅娘も上田トシ子も(まだ健在だが)山崎豊子も。男性に関しては結構ばらばら。なんでなんだろう。
いや、たんなる偶然なんだろうけど。

■『金色夜叉』の間貫一はさ。
あの優等生の絶望→ルサンチマンに陥って悪になってみるもなり切れず寝込んじゃうっつーダメっぷりが逆にばか愛しい。頑固だしさあw
あれ、未完だからこそ良い気がするわー。
…硯友社は紅葉先生だいすきクラブよな。
(先生大好き度は根岸短歌会も木曜会も負けてないけど!)

■どこで読んだかうろ覚えだけど。
病床の正岡子規を皆で囲んで談笑してたら、はとこだったかが帰るって席を立った時、はとこの着物の裾つかむわけですよ。のぼさん。
「帰ってしまったら、その席が開いてしまうから、寂しいんじゃ。帰らんといて…!」
って言ったってのが…!きゅんきゅんしすぎて死にそうだった…!
アレの出典はどこだったか。

■【懐かしのメロディ】東海林太郎「国境の町」

「一つ山越しゃ 他国の星が 凍りつくよな 国ざかい 」の雰囲気がすごく好きー。
この「一つ山越しゃ他国の星が」という表現。
近代になって満洲大陸に渡っていき、近代的(だって旧国あるからな)日本人が異国を感じるシンパシーであると思うと、すごく意味のある歌でゾクゾクする…!

■お、なんだ三重吉も池袋近くに住んでたんだー。
赤い鳥クラスタは目白池袋か。
どうでもいいが三重吉は漱石先生を情熱的に愛しすぎだと思います
西池袋2丁目(狐塚)付近地図


タグ:大陸中文文芸 文芸全般書 明治文壇 つれづれ胡思乱想
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