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のらくろのパラレル系譜。

■のらくろには大きく分けて、2つのパラレルがある。

1-1は、戦前の少年倶楽部連載および単行本の系譜。
1-2としての、戦後に単行本で出て、最終的におぎんちゃんと結婚して喫茶店やるバージョン。
戦前の話と直接つながっているわけでもなく、田河水泡先生自身の描き方もかなり違ってるので、個人的にはこれもパラレルとしたい。

2つめは、戦後にリバイバル版として新しく書きなおされた「普通社」「ろまん書房」。
読者層が大人になっている(むしろ、かつて少年だった大人へ、向けというか)。
ここのサイトが詳しいので参照に。
2-2として、雑誌『丸』に連載されて、のち単行本『のらくろ自叙伝』になった話。2-1とだいたい同じような話の内容。

あとは各種パラレルも少数(特に戦後すぐ、のらくろがいろんな職業やったりする話も多い。
「なぜか」一時期近代デジタルライブラリーで閲覧可能になってたw『のらくろ珍品草』とか)。
中部日本新聞に連載された『のらくろ』『2代目のらくろ』(平日連載の、だいたい8コマ程度。カラーページ多し)は、のらくろとその息子の話。奥さんも出てくるが外見は似ているものの、おぎんちゃんではなさそう。「母親」という役割以上に付与されたものは感じない。
他にセリフが全てカタカナ表記の『チャメケン』など、他の漫画への準レギュラー出演とか。
中日新聞版『のらくろ』『2代目のらくろ』および『チャメケン』は単行本化していない模様。
各種、掲載新聞および雑誌で確認するしかない。
(チャメケンは読むのにちょっと手間がかかった。入手がなかなか…)
この各種戦後版に関してはまた今度詳しく。

■2に共通する点としては、1の戦前とは全く違うこと。
猛犬連隊の他の連隊にいた別犬・野良犬黒吉の話、って感じ。パラレル以前に。
漫画版は第一連隊らしいので、同じ東京(なんて云ってもテラ江戸弁w)なら第三連隊の話って感じ。それくらい違うけど、戦前版のネタもときおり上手く入ってくる。
なかなかおもしろい。今で言う、原作と映像化の時の違いのような。

■戦後ものに共通するんだけど、ストーリーとして大人向きであるが故に、非常に面白い。
また興味深いのが「猛犬連隊は人材不足であり、将官が早い」こと。
戦争末期を思い出すわ。でも、反戦心理描写や上等兵時代の辺なんかは、田河先生従軍時代である大正末の軍人の「流行ってない」微妙な社会的地位もうまくアレンジして犬社会の中に書き込んである。

そこらは、テーマの違いと云う感じか。
戦前のテーマは佐藤紅緑作成の「陽気に元気にいきいきと」という中にある「どんな逆境に育っても、決して自分自身を見限ったりするものではない(全集前書から)」。
それって、当時の未来ある少年らが望んだ(=だから売れた)ものだったろうわけで。
戦後のシニカル色濃い(最も大岡昇平などの平穏な大正期に青年期を送ってる世代特有の、軍隊に対する少し斜めに見た感は、戦前でも既に見えるけどw)戦争批判を込めた描き方は、かつての少年が見た現実を投影してるのがテーマなので、感じてしまう戦前版のイメージからとの違和感はテーマ違いだからなのだよね。
でもさすがストーリー面白い…!

(考え方の違いといえば。
つねづね『のらくろ漫画全集』の手塚治虫の文章に疑問を持ってたんだけど、それは田河先生との世代なんだろうなーなんて思う。
手塚の象狩りの話の読み方は戦後的つか、無理に階級を作ってる感じ。とちょっとだけ。
いや、疑問の本題は違うことだけど、捉え方の問題なのかな。って)


■まあ、長く適当なこと云ってたけど。わたし的には。
戦前版:凛々し可愛いかんじの小柄な第一連隊所属
戦後版:江戸っ子いなせな若造の第三連隊所属
ってイメージ。戦後版は犬耳しっぽがない方がいいかも。デカも戦後版はおおらか田舎青年だな。戦前版は普通のいいとこの子にする。



タグ:のらくろ
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